コラム
2026.06.02

「睡眠時無呼吸症候群と生活習慣病」―高血圧と糖尿病との関係について受診から検査・治療までの流れ

これまでのコラムでは、睡眠時無呼吸症候群の症状や検査・治療についてご紹介してきました。

睡眠時無呼吸症候群のというと、「いびき」や「日中の眠気」をイメージされる方が多いかもしれません。

しかし実際には、それだけではありません。

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧や糖尿病、心疾患などの生活習慣病とも深く関係していることが知られています。

今回は、睡眠時無呼吸症候群と全身の健康との関係にういて解説します。

 

睡眠中の低酸素状態が体に負担をかけます

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠中に気道が狭くなり、呼吸が何度も止まる状態が繰り返されます。

そのたび体内の酸素濃度が低下し、体は酸素不足を補おうとして強いストレス反応を起こします。

また、呼吸が再開するたびに脳が覚醒し、睡眠が浅くなります。

こうした「低酸素状態」と「睡眠の分断」が毎晩繰り返されることで、知らないうちに全身へ負担が蓄積していきます。

 

高血圧との深い関係

睡眠時無呼吸症候群と最も関連が深い生活習慣病のひとつが高血圧です。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは、高血圧を合併している割合が約50%前後とされており、重症になるほどその傾向は強くなります。

無呼吸による酸素不足が起こると、交感神経が活発になり、血圧や心拍数を上昇させます。

通常、睡眠中は血圧が下がりますが、睡眠時無呼吸症候群では血圧が十分に下がらず、夜間高血圧の原因となることがあります。

また、

・高血圧の治療をしても血圧が下がりにくい

・複数の降圧剤を使用している

といった方の中に、睡眠時無呼吸症候群が隠れているケースも少なくありません。

 

糖尿病とも関係しています

睡眠の質の低下は、血糖値を調節する機能にも影響を与えます。

睡眠時無呼吸症候群では、睡眠不足や睡眠の分断によってインスリンの働きが低下し、血糖値が上昇しやすくなることが知られています。

そのため、

・糖尿病の発症リスクの上昇

・糖尿病のコントロール悪化

につながる可能性があります。

近年では、糖尿病患者さんの中に睡眠時無呼吸症候群を合併している方が少なくないことも報告されています。

 

心臓や脳の病気にも影響します

睡眠中の低酸素状態は、心臓や血管にも負担をかけます。

その結果、狭心症や心筋梗塞、心不全、脳梗塞、脳出血などのリスク上昇との関連が指摘されています。

特に中等度から重症の睡眠時無呼吸症候群では、

・高血圧の発症リスクが約2~3倍

・心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患のリスクが約2~3倍

・脳梗塞や脳出血などの脳血管疾患のリスクが約2~4倍

に上昇すると報告されています。

また、重症例では心不全や不整脈との関連も指摘されており、睡眠中の呼吸障害が全身の健康に大きく影響することが分かっています。

 

治療によって期待できること

睡眠時無呼吸症候群の治療によって呼吸状態が改善すると、

・日中の眠気の改善

・睡眠の質の向上

・起床時の頭痛の軽減

・集中力の改善

などが期待できます。

さらに、高血圧の改善や心血管疾患リスクの低減にもつながる可能性があるため、全身の健康管理という観点からも重要な治療と考えられています。

 

健診で生活習慣病を指摘された方は睡眠にも注目を

高血圧や糖尿病、脂質異常症などを指摘されている方の中には、睡眠時無呼吸症候群が隠れている場合があります。

また、

・いびきを指摘されたことがある

・日中の眠気が気になる

・朝起きても疲れが取れない

といった症状がある場合には、一度睡眠の状態を確認することをお勧めします。

 

TAKANAWA GATEWAY Clinics 睡眠・呼吸器では、睡眠時無呼吸症候群の検査・治療を専門的に行っております。

気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

関谷 宗之 院長
この記事の執筆・監修者

関谷 宗之 院長(Muneyuki Sekiya)

15年間、大学病院にて喘息やアレルギー、睡眠時無呼吸症候群などの専門医療に携わってきました。「これくらいで病院に行っていいのかな」と迷うような、長引く咳やいびき、息切れも、実は体からの大切なサインです。ひとりで抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの毎日の心地よさを取り戻すパートナーとして、真摯に寄り添います。

略歴

  • 2010年 東邦大学医学部医学科 卒業
  • 2010年 東邦大学医療センター大森病院 初期臨床研修医
  • 2012年 東邦大学医療センター大森病院 呼吸器内科 入局
  • 2017年 社会福祉法人三井記念病院 呼吸器内科 医員
  • 2019年 東邦大学医療センター大森病院 呼吸器内科 助教
  • 2026年 TAKANAWA GATEWAY Clinics 睡眠・呼吸器 院長

資格・所属学会

日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医・指導医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医
日本喘息学会 喘息専門医
日本禁煙学会 禁煙認定指導医
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医
日本睡眠学会
日本感染症学会